多くの人が引っかかる“人間トラップ”
家づくりに関する失敗例の中には、悲劇そのものの話から笑い話のネタになるようなものまで多々あります。しかし、共通して言えることは、その引き金となった情報のほとんどが、住宅を供給する企業や人たち側から提供された、「家を売るための情報」という側面を持つことです。
現実とのギャップに失望しないためにも、「家を建てる過程は難しいから、詳しい人に早く丸投げしたい、バトンタッチしたい、リーダーシップを取って欲しい」という考えは捨ててしまいましょう。
住宅業界は、「お任せ」で良い家が出来るほど親切な業界ではありません。どんな価値観やライフプランを持ったお客さまを相手にしても、結局は自社の設計手順や仕様に当てはめて、効率の良い「標準化」を押し進めていく業者はどこにでもあります。
皆さんの多くは、これから「家を建てる」ためのスタートを切る方がほとんどだと思いますが、今後どこかで営業マンと言葉を交わす機会が増えていくはずです。そして1番最初に出合った営業マンが、そのままズルズルとあなたの家が完成するまでのパートナーとなる可能性が高いのです。
彼は、あらかじめ用意してある標準プランの中から、自社に利益の高い提案をするでしょう。きちんと個別に対応している業者と比べれば、設計作業が重視されていない姿勢は鮮明ですが、そんな所に本当に全て「お任せしたい」と思いますか?
そんな業者は数少ないないよ、と思われがちですが、例え「たまたま電話で連絡を取ったときに電話に出た人」や、「たまたま資料請求の返事を出した人」、展示場や現場見学会などで「偶然あなたを担当しただけの人」が“ハズレ”でなく、“当たり”のトークであなたを魅了しても、心の中では「このお客さまの要望は、本来ならうちの会社の規格外だ」と思っているかもしれません。
営業マンには契約ノルマあるので、とにかく全力で落とそうとします。お客さま自身、期間限定の大幅値引きやキャンペーン特典の話を持ち出されれば、長時間を費やして考えた希望を削ってでも妥協しないとは限りませんよね。
建設業界は、本来「3K=汚い、怖い、きつい」といった“何事にも厳しい業界”です。実際に家を建てる職人と彼ら営業マンの関係を考えると、「何でも提案して、向こうからその解決策を出してくれる」=「信頼」ではないことが、よく分かると思います。
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